top » 伊能測量応接室 » 伊能測量漫筆

酒造家 「伊能三郎右衛門家」

 しぱらくぶりに日比谷の日本生命ビルに用事があって、帝国ホテルから日比谷の映画街を散歩していて、ビルが一つ無くなって空き地になっているのに驚いた。
 帝国ホテルは毎年NTT_OB会があるので、行くことが多いが、すぐ直前の地下鉄に人るので、あまり周りを見ない。銀座で開かれる伊能アトリエの発表会にはたまに行ぐが、このときも帝国ホテルの横を通り抜けるので、あまりキョロキョロするわけではない。
 何気なく漫歩していたら、三井銀行本店の階のビルが並くなって人口芝を張った広場になっていた。土一升、金一升の土地にブレハプ小屋を数件建てて、休憩室やコーヒーショップとし、椅子テープルを出して憩いの場となっている。ビルの谷間の憩いの場提供なら味なことで、丸の内に出来たBRICスクェアの向こうを張って三井グルーブが提供したのなら、よしよしと思ったが、それには少しグレードが低いな。やっぱり資金繰りで建築計画を延期したまでで、いずれはビルに戻るかな、などと余計な詮索を一人でしながら見渡す。
 端の方に菊正宗の酒蔵っぽい建屋があるので、覗いて見た。仮設の菊正宗記念館で三百五十年続いているという灘の菊正宗の説明展示が飾っであった。カウンターがあってバータイムと称して生原酒を一杯二百円で売っていた。
 つまみが無く酒だけなので、よぐ効いて少し口が滑らかになったところで記念館事業部担当という名刺を持った女性に聞いてみた。伊能忠敬を知っているか。勿論知っている。忠敬のことを調べている者だが、伊能さんは酒屋だった。醸造石数1400石、米搗きまで入れると酒作りの時期にほ50人位働いていたと記録にある。
 「お宅は二百年前にお酒を作っていたか。」「勿論です。350年やっています。」「それなら、1800年頃は何石くらい作っていたの。そのとき現場従業員は何人くらいだったの。」「いや~、それは調べてお返事差し上げます。」「話の種に面白いから、なるべく早く教えてよ。」「わかりました。」
出口で「ここはいつまでやってるの?」と間くと、一ケ月間の約束一で日本酒のPRとしてやっているとのこと。朝限がきたら全部撤去するという。この頃日本酒の売れ行きが減っているので、巻き返し作戦とか。なお聞くくと、現在、菊正宗では本格的な仕込みをする杜氏は30人位、「それは少ないね。」といったら、エ場的にいつも作つている従業員は他に三百人くらいいて、年に十万石を作るという。
 本格的なお酒はどうやら一割くらいらしい。安い酒は飲んではいけないんだな、と思いながら電車に乗つたら、難の菊正宗記念館3の館長さんから携帯にかかってきた。1810年の酒造石数は四千二百石、伊能家の三倍だ。1820年は八千石、その六年後には一万二千石というお話で、このときは灘でもトップクラスだったらしい。
 当時、菊正宗では、一蔵干石といって、一つの蔵は・従業員15人で干石を作っていたという。ただこれには米揖きは含まないとのこと。伊能家の数字は米搗きを含んでいるので、どう考えたらいいか聞くと、半分以上米搗きでしょうとの返事。30人米搗きと考えると、醸造は20人、大体バランスするようである。
 日本酒の立ち飲みから大分脱線し、伊能造り酒屋の研究(?)が進んだが、伊能家の素顔、測量隊の日常などでは、まだまだ分からないことが多い。皆様身近なところから研究(?)を初めてみてはいかがでしようか。
 以前に伊能忠敬は長命だったか、というテーマで同時代の有名人の没年を比較をしたら九州の石川さんが更に詳しく調べていただいたことがあります。
 テーマは身近に転がっています。例えは・伊能家の財産三万両といわれているが、どのぐらいの金持ちだったのでしょぅか。越後屋呉服店とか松坂屋などと比較して番付はどうだったでしようか。
 江戸町人の研究は色々ありますから、すぐわかるでしょう。大金持ち(?)といわれている伊能三郎右衛門家は同世代では何番目だったか、キツコーマンの茂木家と比べたらどうだったかな、など研究テーマとして面白いでしよう。調べた人はいませんから新規性充分です。
 年末の持ち越し金八千両と記録がありますが、それって多いのか、少ないのか。また当時のGDPは何万両かな。等々、派生して色々と伊能学は展開します。伊能忠敬を通してみた江戸学でもあります。
 測量隊にしても、歴博の山本教授にいつか言われたことがあります、洗濯はどうしたんでしようか。日程は一泊のところが大部分です。洗濯をしても乾かすことが出来ません。洗濯物を持つて旅行する旅人の絵があるそうですが、洗濯持って測量はできないでしよう。二伯するのは十日に一回くらい、これは多分休暇だったと思います。洗催日にはなり難いのではないでしょうか。
 褌などは買えばいいですが、下着など捨ててゆくわけにもいかないでしよう。作業衣も替りがいりますね。測量記録をよく読んでいるのですが、そういう記録には出くわさないのです。
 妄言多謝。 。
 

▲このページのトップへ